遅すぎた初恋
自分の母親だとしても、殺意が湧く。
でも、さっきよりも人が減ったような気がする。
星羅は、どこか落ち込んでいる。何か食べるか?飲むか?と甲斐甲斐しく世話をやく、時々意地悪な事を言っても反応が薄い。
これはまただな。

パーティーがお開きになり。客人が帰っていく。
海堂さん夫妻は別棟に戻り、母も疲れたからと、さっさと部屋に戻って行った。
去年は後片付けを手伝っていた星羅も、今年は使用人達から身重だからと断固拒否され、心折れて自室に戻ろうとしていた。

今日は元々そうしようと思っていたので、「星羅、今からツリーを一緒に見に行くから着替えて来なさい。」と、戻る彼女に声をかけると、うれしそうに防寒対策万全に着替えて来た。

「うわぁぁ。やっぱり今年も綺麗だあ。吉爺さん本当いい仕事しますよねえ。今年は断られたけど、来年は絶対手伝います!」
と、宣言する彼女だが、どこか寂しげにツリーを見上げる。

私はその様子を見て「泣け!ほらっ」と一声かけて抱きしめてやる。「何?何ですか?」と戸惑う星羅に、もう一度

「泣け!。どうせまた色々考えて、独りよがりになって泣きたくても泣けない状態に持っていってるんだろ?。君の事は大体わかる。とにかく泣け!ほらっ遠慮するな。」
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