遅すぎた初恋
彼女の腕を叩いて「ちょっと離してくれ。」と言ったのに少し緩めただけでちっとも離れない。
痛いが可愛いすぎる。だめだ煩悩に打ち勝たないと、と思っていると、星羅が小さく呟くように、

「私…お義兄さんが好きです。ちゃんと男性として…好きです。こんな事思ってはいけないけど…。でもやっと気づけたんです。やっと、認めたんです。やっと、覚悟ができたんです。
どうしてもそれだけは伝えたくて、飛び出して来たんです。私、広高さんが…好きです。」

と言って私の唇にチュッとキスをして来た。
そして耳元で「間に合いますか?まだ愛してくれてますか?それとももう遅いですか?」と恥ずかしそうに顔を赤らめて囁いて来る。

星羅の予期せぬ行動に面食らった私は、夢を見ているようで暫く固まっていたが、なんとか覚醒して、
「馬鹿か君は。私の君を思う気持ちの方が遥かに深いのに、そう易々と諦めてたまるか。これからはせいぜい覚悟するんだな、嫌がろうが、泣かれようが、私の思うままに君を翻弄してやる。永遠に離してなどやるものか。」と不敵に笑って、深い深いキスをお見舞いしてやった。

だが…

母にど突かれた。「ちょっとぉ!病院でおっ勃ててるんじゃないわよ!うつすなって言ったでしょ!公然わいせつ罪でアンタだけお巡りさんに突き出すわよ。それと拉致監禁罪も付けようか。」と宣った。いつの間に居たんだ…母親。
その様子に榊が嬉々としている。
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