遅すぎた初恋
隆海が生まれてまもなく、私は星羅に「結婚して欲しい」とプロポーズをした。星羅は「私の大切な人達が許してくれたら」と返事をしたので、海堂さん夫妻に認めてもらいに奔走し。
プロポーズして半年が過ぎた秋、やっと「星羅ちゃん、こんな男の何がいいの?本当にこの男で大丈夫?本当に後悔しない?」と宣っていた母の許しも「まあ、いいわ。この男に嫌気がさしたら、すぐに私の元に戻って来ていいからね。」と渋々出て。星羅と私は結婚した。

式は家族と親しい人達を集めた簡素なものにした。
ごちゃごちゃと煩い奴等に祝われても少しも嬉しくないから、どうでもいい親族は締め出した。

叶とバツの悪そうな望がやって来て、叶が私に向かって「ほらね。私の言ってた通りだったでしょ?二人はお似合いだって。」と言うから「ああ、そうだな。叶の言う通りだ。」と手を上げて、降参のポーズを取った。「バレバレなのよね。本人は、澄ましてるつもりなんだろうけど、広兄の星羅さんを見る目つきが危ないんだもん。ある意味お兄ちゃんより、引くわ。」と毒づいてくる。
望は「僕より広高の方が犯罪だよね。星羅ちゃん、嫌になったら僕が待ってるからね。」と言って、星羅の手を取ろうとするから「お前はきっぱり振られてるだろ!」とバシっと望の腕をはたき落した。「何するんだよ。痛いなあ。いい歳した男の嫉妬は見苦しいよ。」と腕をさすりながら私を軽く睨んで、星羅に「お幸せに〜またね。」と言って、二人は離れて行った。

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