遅すぎた初恋
「は?えっと、貴方がゆかり様ですか?」

「そうよ。悪い?何か問題でもあるの?」

「いえ、そういう訳では……。」

「で、貴方は?」

「あ、大変失礼致しました。私は、隆俊様の秘書をやっております。榊と申します。」

「ふ〜〜ん。あの唐変木の秘書ねえ。」

「とうへんぼく…。隆俊様がですか!そんな事ある訳ないじゃないですか!」

「ちょっと、声!」

「し、失礼しました…。ですが、隆俊様は唐変木ではありません!」

「ふーん。分かったわ。じゃあ、車の中で話ししましょ。」

と、私はゆかり様に促されて運転席に戻った。
彼女は、後部座席には座らず、助手席に乗り込んできた。
彼女の甘い香りが、私の鼻をくすぐる。確かに綺麗な人だな。と横目で見てしまう。細い割りには付いてるとこにも付いていて、それだけでも目を惹く。だが、それよりも、瞳が綺麗だ。何か挑んでくるような、強い意志を持った瞳だ。目を向けられただけで、何か見透かされそうな気分になる。

「で、あのとうへ…じゃなかった。隆俊さんの事を教えてくださる?」
と、こちらに顔を向けてくる。こんな密室に男女二人だけなんて、ほぼほぼない事なので、何か意識してしまう。
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