副社長は今日も庇護欲全開です
「気に入った? それなら、よかった」

と言いながら直哉さんは、私を背後から抱きしめる。このバックハグは、彼と付き合うようになってから、幾度となくされていること……。

不意打ちになるから、いつもかなりドキッとしてしまうのだけど。

「直哉さん……。こういう風に後ろから抱きしめるの、好きなんですか……?」

半分照れ隠しもあり、甘い雰囲気になりかけた空気を壊しかける自分が情けない。

だけど私の恋愛偏差値では、彼の積極的な愛情表現を、上手に受け止められなかった。

なんて、女子力のないセリフを言っちゃったんだろう……。

自己嫌悪に陥っていると、彼のクスッと笑う声が聞こえた。

「きみが、そうやって少し恥ずかしがってる姿を見るのが好きなんだ」

「え……?」

私を抱きしめる彼の締まった腕に控えめに触れながら、胸はさらにドキドキする。

直哉さんはやっぱり、私を上手にフォローをしてくれるんだ……。

「恥ずかしがってる陽菜の姿が、俺には新鮮に映るよ。ほら、こっち向いて」

彼にゆっくりと振り向かされ、私はどこかボーっとした頭で見つめた。

「夜景より、俺を見て。きみといると、俺はきみ以外なにも目に入らない……」
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