副社長は今日も庇護欲全開です
「は、はい……。とても、嬉しいです……」

びっくりした……。まさか、告白されるんじゃないかって、一瞬でもうぬぼれてしまった。

だからか、痛いくらいに鼓動が速くなっている。

「必ず、また誘うよ。そろそろ行こうか? きみお勧めのスイーツの店も楽しみだしな」

「ふふ、きっとご期待に沿えると思います」

きっと副社長は、日々の疲れの癒しに、私を誘ってくれているんだと思う。

だから、私が変に意識してしまってはいけない。支えたいという言葉も、業務のことだろうし、彼の言葉に深い意味はないはず。

私が副社長の癒しに少しでもなれるなら、それはとても光栄なことだもの。

今までどおりの距離感で、副社長とは接していこう──。

◇ ◇ ◇

「副社長、すみません……。とても、目立ってますね……」

海岸線をドライブしながら、私たちはスイーツの店に着いた。

ここは、海岸線から少し入った通り沿いにある古民家風の店。

周りは、昔からある小さな町が続いていて、民家から駄菓子屋、それに飲食店がある。

どれも和風の建物ばかりで、どこか懐かしさを覚える風景だった。
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