副社長は今日も庇護欲全開です
副社長から預かった紙には、これから始動するプロジェクトについての質問が書かれていた。

細かいものから、ざっくりとしたものまであり、思っていた以上に時間がかかりそう……。

「陽菜、休憩時間まで仕事?」

会社のカフェテラスで書き込んでいると、真美香が声をかけてきた。

手には、パスタが乗ったお盆を持っている。

「うん。早めに仕上げたいものだから。これ、副社長に提出するものなのよ」

そう説明すると、彼女は呆れたようにため息をついた。

「副社長扱いだからって、休憩のときくらいやめたら? それよりね、陽菜にいい話があるの」

「そうもいかないって。それに、今気分が乗ってるから大丈夫」

真美香の言うことももっともだけど、やっぱり早めに仕上げたいから。それに、“いい話”って、きっと私にとっては違うと思う……。

構わず書き続けていると、真美香は私の向かいに座った。

「ねえ、陽菜。今週の金曜日空いてる?」

「……空いてるけど」

身を乗り出した真美香は、今にも私にぶつかりそう。そんな彼女を視線だけ上げて見た。

「コンパ行かない? エリート商社マン。素敵でしょ?」
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