副社長は今日も庇護欲全開です
恋人になりました
「行かないわ。私、コンパ苦手だもん」

今回は、きちんと話してくれただけマシか。以前の出来事もあり、ますますその気になれない。

でも真美香は予想どおり、簡単には引かなかった。

「来てよ。実はね、相手側に陽菜の写メ見せたら、みんな気に入っちゃって」

「しゃ、写メ見せたの⁉︎」

思わず声が大きくなり、恥ずかしさで辺りを見回す。広いカフェテリアに 私の声は響いたらしく、ちらほらと見られてしまった。

「ちょっと、陽菜ってば声大きい。それに……」

突然、声を潜めた真美香は、気まずそうに視線を私の後ろへ向けた。

「なに……?」

少し不安になりながら、ゆっくり肩越しに振り向くと、通路を挟んだ列に副社長の姿が見える。住川さんと一緒だ。

「全然気づかなかったのよ。私がさっき、陽菜に休憩中にまで仕事する必要ないって言ったの聞かれたかな?」

肩をすくめた真美香は、黙ってパスタを口にした。副社長は、こちら側に向いていたけれど、私と視線が合った途端、冷たくそらす。

まるで、週末の出来事がウソのように、副社長が素っ気ない雰囲気で、心が締めつけられるようだった──。
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