副社長は今日も庇護欲全開です
「え……?」

頭での理解が追いつかない。今、副社長は私になんて言った?

“付き合ってくれないか”って、そう言ったのよね……?

「驚かせたかな?」

穏やかに問われ、小さく頷く。だって、まさか副社長にそう言われるなんて、夢にも思っていなかったから。

「信じられないくらいです……」

ときめく気持ちを感じていると、体が熱くなっていく。副社長をまともに見られなくて、思わず視線をそらしていた。

「突然だもんな。だけど、きみの気持ちを知りたい。教えてくれないか?」

そう言われ、ゆっくり彼を見つめる。副社長からの告白への返事は、考える時間を貰わなくても決まっていた。

だって、私もずっと彼に惹かれていたから。

「私も、副社長が好きです。でも、その想いを抱いていいのかなって、思っていました……」

恥ずかしさを覚えながら、ゆっくりと想いを伝える。すると、副社長は優しく私の手を取った。

「それは、OKの返事を貰ったと思っていいのか?」

彼の手の温もりを感じながら、胸はときめきを増していく。穏やかな目で見つめられ、私はぎこちないながらも、微笑みを向けた。

「はい……。よろしくお願いします」
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