副社長は今日も庇護欲全開です

◇ ◇ ◇

本当は、夢を見ているんじゃないか、そんな思いでテーブルの向かいに座っている副社長を見る。

すると、私と視線が合った彼がフッと笑った。

「なんだか、警戒されている感じがするな」

料理を済ませ、デザートを食べ終えたところで副社長からの告白が蘇り、意識してしまう。

「い、いえ。そんなことないです。だだなんだか、まるで夢みたいで……」

言葉がしどろもどろになってしまい、ますます恥ずかしくなってきた。

そんな私に、副社長はクスクスと笑う。食事中も、ろくに会話ができなかったからか、こうやってやり取りするだけでも緊張してしまった。

「それ、先週も言っていたよな」

その言葉が、どこか嬉しくも感じる。私の言っていたことを、覚えていてくれたんだ……。

「副社長に、連絡先を聞かれたときですよね……」

あのときも、まるで夢心地だったな……。でも今は、もっとそう感じる。

「ああ。実は俺も、今日はさずがに緊張してる。きみが……。陽菜が、告白を受けてくれたから」

「副社長……」

規則的に聞こえる波音以外に、ここはなにも聞こえない。

プライベートビーチだけあって、外部の視線も気にならないし、彼と二人きりなことを充分感じられる場所だった。

そんな雰囲気と、“陽菜”と呼ばれたことに胸の鼓動は高鳴っていく。

やっぱり、夢じゃない。私たちは、恋人同士になったんだ……。
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