副社長は今日も庇護欲全開です
「直哉さんのご自宅……ですか？」

「ああ。もちろん、無理強いはしない」

直哉さんの家に行くだなんて、想像するだけで緊張する。だけど、お付き合いできるようになって、今よりもっと彼を知りたいと思っていた。

「ぜひ。お邪魔させてください」

控えめにそう言うと、直哉さんは笑みを浮かべたまま車を走らせ始める。

約二時間後、私たちは彼の住むタワーマンションへ着いた。

ビジネス街から徒歩で十分ほどの場所にあり、駅へのアクセスもいい。

高級マンションとして有名なここは、企業の社長や著名人が住むところとして有名だった。

「陽菜、どうかした？ 表情が硬くなってる」

地下駐車場からエレベーターで上がりながら、彼はクスッと笑った。

「緊張しちゃって……。マンションなのに、警備員さんいますし……」

おまけに、駐車場は高級車ばかり。玄関にはコンシェルジュもいるらしく、さすがセキュリティの高さに驚いてしまった。

「そうだよな。物々しい感じもするかもしれないけど、そのうち慣れるさ」

「そ、そうですか……？」

慣れるって、それだけここへ私が来ることが前提なっているってこと？　彼の言葉一つひとつを意識してしまう。
エレベーターで二人きり……というのもあるけれど……。

ほどなくして最上階である五十三階へ着き、部屋へと案内された。
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