副社長は今日も庇護欲全開です
玄関の床は大理石になっていて、綺麗に整頓されている。長い廊下を抜けると、目の前には街を見下ろせる大きな窓があった。

「すごい……。素敵な眺めですね。それに、お庭があるんですか?」

窓に近づくと、そこはバルコニーになっている。ガーデニングがされていて、色とりどりの花が咲いていた。

テーブルセットも置かれていて、十分に食事やお茶もできるほどの広さがある。

その光景に呆気にとられていると、直哉さんに後ろから抱きしめられた。

「な、直哉さん!?」

ドキドキと鼓動が高鳴る。彼からほのかに香る甘い匂いも相まって、クラクラしてきそうだった。

「夜のほうが、景色は綺麗だ。あとで、ゆっくり見よう。それより、きみをもっと感じたい」

その言葉の意味が、なにを指しているかなんて、深く考えなくても分かる。強く抱きしめられたことで、彼の想いは私にしっかりと伝わっていた。

「直哉さん……。私、すごく緊張してます」

私を抱きしめる彼の手に、そっと触れる。それだけのことなのに、ドキドキする胸の高鳴りはどんどん加速していった。
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