副社長は今日も庇護欲全開です
副社長の素顔は甘いです
「ん……。直哉さん……」

なんだか、彼がとても積極的な気がする……。慣れた手つきで私の服を脱がせた直哉さんは、体じゅうにキスを落とした。

「陽菜の体、熱いな……」

彼の指が体を這うたびに、私の甘い声が漏れていく。そしてそのたびに、どんどん気持ちは高ぶっていった。

「直哉さんが、熱くしてるんです……」

そんなに強いキスをするから……。ボーっとする頭で彼を見つめていると、優しく唇を塞がれた。

「じゃあ、もっと熱くする。 今夜は、きみを帰したくない」

少しだけ、息が乱れている直哉さんの首に手を回す。恥ずかしさでいっぱいだけれど、彼の言葉に応えていた。

「はい……。私も、帰りたくないです……」

その返事がまるで合図のように、直哉さんは私の体じゅうに愛撫をすると、ベッドをきしませた──。



「本当ですね……。夜の景色は、とても綺麗……」

ベッドのなかから窓に目を向けると、街はすっかりネオンの明かりに変わっている。

直哉さんは、私を後ろから抱きしめるように手を回し、耳元で囁くように言った。

「だろう? それにしても、いつのまにか夜になってたんだな」

「はい……」

ここへ来たときは、まだ夕方だったのに、気がついたら暗くなっている。

それだけ、直哉さんとの甘い時間に夢中になっていたんだと気づいて、なんだか恥ずかしくなってきた。

「時間が経つのを、すっかり忘れていたよ。陽菜のことしか、頭になかった」

「直哉さんってば……」

うなじにキスを落とされ、おさまっていた体の火照りが蘇る。

「あ……」

思わず声を漏らすと、彼は私に覆いかぶさってきた。

「きみといると、とても落ち着く。こんな気持ちは、初めてだ」

直哉さんはそう言って、再び私を熱くて甘い夜へ連れていった……。

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