副社長は今日も庇護欲全開です
◇ ◇ ◇
明るさで目を開けると、外の景色はネオンから陽の光に戻っている。
いつのまに、眠ってしまったんだろう。慌てて起き上がり、自分が服を着ていないことに気づいた。
「そうよ、私……」
チラリと横に目を落とすと、直哉さんが眠っている。私、本当に副社長と恋人同士になって、一晩一緒に過ごしたんだ……。
改めて実感すると、とても照れくさい。夢のような現実に、どこかふわふわした気持ちだった。
「直哉さんって、まつげ長いんだな」
寝顔もため息が出るくらいに素敵。布団からチラッと見えている彼の胸は、締まっていて温かだったなと昨夜を思い出し、また恥ずかしくなる。
「ダメ、ダメ。昨夜を思い出しちゃう。そうだ、朝ごはんを準備しておこうかな」
そういえば、夕食を取っていなかったっけ。それだけ、体を重ねることに夢中で、さらに照れくささが増してくる。
マンションの近くに、なにかお店があったはずだから、朝ごはんになりそうなものを買ってこよう。
彼を起こさないようにそっとベッドを降りようとしたところで、不意に腕を掴まれた。
「どこに行くんだ?」
「な、直哉さん⁉︎ 起こしちゃいましたか?」
驚く私に彼はクスッと笑い、起き上がった。
「いや、ずっと起きてた」
「えっ? ずっとって、いつからですか?」
もしかして、独り言を聞かれたかな……。だとしたら、かなり恥ずかしい。
控えめに彼を見ると、笑みを浮かべて私を見つめている。
「だいぶ前から。きみが、あまりに気持ちよさそうに寝てたから、俺も起きなかった」