副社長は今日も庇護欲全開です
「そうだったんですね……。びっくりしました」

もしかしたら、聞こえていなかったのかもしれない。私も微笑み返し、今度こそベッドを降りようとすると、直哉さんに腕を引っ張られて、ベッドに倒れた。

「な、直哉さん……?」

ドキドキする私に、彼は笑みを崩さずに言う。

「昨夜のこと、思い出そうか?」

「え……?」

高鳴る気持ちを感じていると、直哉さんに唇を塞がれた。優しく胸に触れられ、たまらず声が出てしまう。

夢のような一夜が過ぎても、こんなに甘い時間をくれるなんて……。

直哉さんの意外過ぎる素顔に、私の心は乱されっぱなしだった──。

◇ ◇ ◇

「直哉さん、私そろそろ帰ります」

お昼が過ぎ、食事をケータリングで済ませると、私は帰り支度を始めた。

といっても、服は昨日のままだから、バッグにスマホを入れるだけ。

メイク直しもしたし、明日はお互い仕事だから、早めに帰ろう。

とても未練は残るけれど……。後ろ髪引かれる思いでソファから立ち上がると、玄関に向かう。

次に、ここへ来ることができたら、バルコニーのお花を見せてもらおうかな。

それに、デートもしたいし。この近くなら、モールもたくさんある……。

「待って、陽菜。送っていくよ」
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