副社長は今日も庇護欲全開です
◇ ◇ ◇
「あ、天気がいい。やっぱり、出かけようかな」
日曜日の朝、窓を開けると青空が広がっている。ところどころ浮かぶ白い雲を見ながら爽やかな風を受けていると、気分は前向きになってきた。
直哉さんと会えないのは寂しいけれど、そればかり考えていても仕方ない。
気分転換に、新しい服でも探しに行こうと決めて支度をしていると、電話が鳴り始めた。
日曜日の十時……。誰からだろうと、テーブルに置いてあるスマホに手を伸ばすと、それは直哉さんからで、一気に胸は高鳴った。
「もしもし、直哉さん⁉︎」
まさか、電話をもらえるとは思っていなくて、嬉しさと同時に、なにかあったのかと心配になる。
すると、電話口から彼の優しい声が聞こえてきた。
《おはよう。今、電話して大丈夫だったか?》
「は、はい。大丈夫です。直哉さんこそ、ご予定があるんじゃないですか?」
声を聞けれるだけでも、こんなに嬉しいなんて……。私、いつの間にか、直哉さんで心のなかが、いっぱいにはなっている。
「それが、思ったより早く終われてね。きみがどうしてるか、気になって電話した」
「そうだったんですか……」
この時間なら、これから会えるかな……。でも、なにか予定を終えて連絡してくれているのだから、疲れているかもしれないし。
いろいろ思いを巡らせていると、次の言葉が続かない。会いたいという気持ちを口にしていいのか、迷ってしまっていた。