副社長は今日も庇護欲全開です
服を見に行こうと思っていたのは、一人で過ごす予定だったからで、絶対にこなしたい用事ではない。
それに、直哉さんと二人なら、どこでもいい。
「俺が行きたいところは、きみが楽しめる場所だ。陽菜の笑ってる顔を見たいから」
車を走らせながら、直哉さんはさらっとそんなことを言う。こういうとき、スマートに切り返せればいいのに、照れくささでなにも言えない。
それどころか、頬が緩みそうになりながら、俯くだけだった。
すると、彼の穏やかで静かな声がした。
「どうかした? 反応してくれないと寂しいな。それとも、俺の言葉が不快だった?」
そう言われ、慌てて顔を上げると、直哉さんの横顔を見つめる。ハンドルを握っている直哉さんは、真っすぐ前を見つめていた。
「いえ、それは違います。ただ、なんて答えたらいいのか分からなくて……。直哉さんの言葉を、上手に切り返せないんです」
恥ずかしく思いながら、本当のことを話すと、彼は優しく言った。
「そういうところが、きみの魅力だよな」
「私の……?」
小さく呟いた私に、直哉さんはほんの一瞬、笑みを向けただけだった──。
◇ ◇ ◇
お昼は、直哉さんのマンションからそれほど遠くないカフェで過ごす。
オシャレで開放的なお店は、カップルや女性グループで溢れていた。
そこでサンドイッチを堪能した私たちは、そのあと近くのモールへやってきたのだけれど……。
「直哉さん、やっぱりどこかで待ちますか?」
私の好きなブランドがテナントして入っていて、さっそく服を見ている。
彼も、一緒に見ると言ってくれ、二人で服選びをしているけれど、直哉さんがとても目立ってしまい、私は静かに動揺していた。
「いや。陽菜と、ここにいようと思っているけど。なにか、都合が悪い?」
怪訝な顔をする彼に、私はおずおず話す。
「直哉さんが、居づらくないかなと思って……」
やっぱり、直哉さんは華がある。立ち振る舞いがスマートで、人目を引いていた。
店内では、女性客の多くが、彼にチラチラと視線を向けているほど。
「そんなことはないが……。だいたい、結構カップルがいるだろう? それとも、一人で見るほうが落ち着く?」
それに、直哉さんと二人なら、どこでもいい。
「俺が行きたいところは、きみが楽しめる場所だ。陽菜の笑ってる顔を見たいから」
車を走らせながら、直哉さんはさらっとそんなことを言う。こういうとき、スマートに切り返せればいいのに、照れくささでなにも言えない。
それどころか、頬が緩みそうになりながら、俯くだけだった。
すると、彼の穏やかで静かな声がした。
「どうかした? 反応してくれないと寂しいな。それとも、俺の言葉が不快だった?」
そう言われ、慌てて顔を上げると、直哉さんの横顔を見つめる。ハンドルを握っている直哉さんは、真っすぐ前を見つめていた。
「いえ、それは違います。ただ、なんて答えたらいいのか分からなくて……。直哉さんの言葉を、上手に切り返せないんです」
恥ずかしく思いながら、本当のことを話すと、彼は優しく言った。
「そういうところが、きみの魅力だよな」
「私の……?」
小さく呟いた私に、直哉さんはほんの一瞬、笑みを向けただけだった──。
◇ ◇ ◇
お昼は、直哉さんのマンションからそれほど遠くないカフェで過ごす。
オシャレで開放的なお店は、カップルや女性グループで溢れていた。
そこでサンドイッチを堪能した私たちは、そのあと近くのモールへやってきたのだけれど……。
「直哉さん、やっぱりどこかで待ちますか?」
私の好きなブランドがテナントして入っていて、さっそく服を見ている。
彼も、一緒に見ると言ってくれ、二人で服選びをしているけれど、直哉さんがとても目立ってしまい、私は静かに動揺していた。
「いや。陽菜と、ここにいようと思っているけど。なにか、都合が悪い?」
怪訝な顔をする彼に、私はおずおず話す。
「直哉さんが、居づらくないかなと思って……」
やっぱり、直哉さんは華がある。立ち振る舞いがスマートで、人目を引いていた。
店内では、女性客の多くが、彼にチラチラと視線を向けているほど。
「そんなことはないが……。だいたい、結構カップルがいるだろう? それとも、一人で見るほうが落ち着く?」