副社長は今日も庇護欲全開です
「いえ。一緒に見たいですけど、直哉さんが目立っていて……。結構、女性の視線を集めてますよ?」

気づかないのかな? 直哉さんが落ち着かなかったら……と思うと、心配なのだけれど……。

「そうか?」

「そうですよ。居心地、悪くないですか?」

そう聞くと、小さく口角を上げた直哉さんが耳元で囁いた。

「心配してくれて、ありがとう。でも、俺はきみ以外目に入ってないから大丈夫」

「直哉さん……」

ドキッとして、顔が赤くなっていくのが分かる。そんな私を見ながら、彼はクスッと笑っていた──。


「どっちの色がいいかな……」

色違いのカットソーを姿見に写し、しばらく悩んでしまう。濃い色のほうが大人っぽいけれど、私には似合わないかもしれない。

決められないでいると、側で見ていた直哉さんが口を開いた。

「陽菜なら、淡い色のほうがいいんじゃないか? きみの柔らかい雰囲気と合っている」

「そ、そうですか?」

ちゃんと、見てくれていたんだ……。彼のアドバイスどおり、クリーム色のカットソーを合わせてみると、たしかに顔が明るく映る。

「ほら、陽菜の色白が映えるだろう?」

「はい……。決めました。これにします」

イメージどおりの服が見つかったうえ、直哉さんに選んでもらったもので、特別に嬉しくなっていた。
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