副社長は今日も庇護欲全開です
一緒に買い物ができることが、こんなに楽しいなんて……。

心が温かくなるのを感じながらレジへ向かうと、直哉さんがジャケットから財布を取り出している。

「直哉さん？ それは？」

不思議に思い問いかけると、彼は涼しげな表情で答えた。

「支払いをするんだろう？ だから、出したんだが」

「えっと……。支払いは、私がしますので、直哉さんのお財布は関係ないかと……」

カードを出さんばかりの勢いの彼に、私は控えめにそれを断る。

なんでもかんでも、直哉さんに甘えるわけにはいかない。

すると、彼は私を見つめたあと、そっと財布をジャケットの裏ポケットに収めた。

「そうだな、すまない。失礼なことをした」

小さく微笑む彼に、私も笑顔を向ける。

「いいえ。直哉さん、あまり気を遣わないでください。私、これからも直哉さんとたくさんお出かけしたいので」

「そうだな……」

会計を済ませて、直哉さんと車に戻る。今夜は、彼とずっと一緒にいられると思うと、はやる気持ちを抑えるのに精一杯だった。
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