副社長は今日も庇護欲全開です
「お邪魔します」

二度目の彼のマンション。結局、自分から合鍵を使うきっかけがなく、今日もバッグの中にしまってあるだけ。

やっぱり、彼の部屋に自ら行くのは勇気がいるな……。

「陽菜……」

靴を脱ぎ廊下へ上がった途端、直哉さんに背後から抱きしめられた。

「な、直哉さん?」

ドキドキする気持ちが大きくなる。二人きりになっただけでも緊張しているのに、突然抱きしめられてときめきが加速していった。

「早く、二人きりになりたかった」

彼に囁くようにそう言われ、鼓動はさらに高鳴っていく。直哉さんにも、気づかれているんじゃないかなと思うくらいに。

「直哉さん……。私もです。洋服選びに、付き合ってくださってありがとうございました。つまらなく、なかったですか?」

きっと、気遣いで一緒に見てくれたんだろうし、少し申し訳ない気がする。

彼にとっては、それほど楽しい時間ではなかったかもしれない。

そんな不安もよぎったけれど、直哉さんはすぐに答えてくれた。

「そんなわけないだろう。むしろ、きみへの想いがより強くなったよ」
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