泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
泣き声が響く病室で、父さんは腕時計を見て
機械的に言った。
「10月30日、午前8時11分、お悔やみ申し上げます。
ほんの数秒前まで、意識はあったんだ。朝食を吐いてしまって、嘔吐が薬を飲ませたり、点滴を取り替えたり、注射をしたりしても収まらなくてね。
彼の病気は元々かなり進行してて、もう手術で治せるようなものではとっくになくなっていたんだ。残念だけれど……」
父さんの言葉が右から左に流れていく。
奈々絵は、死んだ……?
俺と潤のたった一人の親友は、もういない?