泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
「空我、どこ行きたい?」
俺を後部座席に乗せて、潤はバイクを加速させた。
「……遊園地」
5歳の時、まだ平和で楽しかったあの13年前。
その時のことだけは、やたら鮮明に覚えている。
俺は、血の繋がっていない父親と母さんと3人で遊園地に行ったんだ。
コーヒーカップに、メリーゴランド、ちっちゃい子供用のジェットコースター、それに観覧車。
とにかく沢山の乗り物に3人で乗って、
俺はとんでもなくはしゃいでいた。
ジェットコースターでびびって泣いて、母さんは必死で俺のことあやしてたっけな……。
まさか、それが家族で最後のお遊びになるだなんて、俺はその時想像もしていなかったんだけど。