泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
「ほら、空我。行こうぜ」
泣き止んだ空我の頭をそっと撫でた。もう片方の手で空我の腕をつかみ、俺は遊園地の入口に向かって歩き出す。
「いらっしゃいませー。どうぞ楽しんできてくださいね」
受付にいた店員がそう言い、俺達を遊園地へ快く迎え入れた。
「……すげー懐かしい。連れてきてくれてありがとな、潤ッ!!」
八重歯をチラつかせて、空我はやんちゃそうに、そして心底嬉しそうに、俺に笑いかけた。
……可愛すぎんだよ。
「く、空我、何乗りたい?」
「……あれ」
そう言って空我が指さしたのは、
白い白馬やユニコーンなど、数多もの動物の像があるメリーゴランドだった。
「お前……メリーゴランドって、子供か!!」
俺はつい、腹を抱えて笑ってしまった。
いやぁツボるわ。
……やっぱこいつ、高校卒業しても、まだまだすげー幼い。まぁ、そこが好きなんだけど。
「なっ、うっせぇ!!
こちとら10年以上乗ってないんだよ!」
「悪い悪い、いいよ。乗ろうぜ」
顔を赤くし、頬を膨らませて空我が言うので、俺は慌ててそいつを宥めた。