泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
「……いらね」
回復したのか、空我は立ち上がって、トイレから出た。
俺を通り過ぎてずんずんと前に歩く。
「……空我?」
そっと後ろから手に触れると、振りほどかれた。
「あっ、……悪い」
空我は、バツが悪そうに髪を引っ掻いた。
ふーん?
「空我ぁ、お前拗ねてるだろ」
俺は空我の両肩に腕を押し付けて、上から目線で顔を覗き込んだ。
「わっ、……あーもう!!マジでお前うっさい!!」
あぁ。
本当に、わかり易い奴だ。