泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
「そんなに拗ねんなよ。
もう7時だし、飯にしようぜ」
俺はそう言い、空我に笑いかけた。
「……やだ。つか、腕どけろよ!」
渋々俺は腕をどかし、片手で空我の手を握った。
「じゃあ何がしたいわけ?」
「……アレ食べたい」
そう言って空我が指さしたのは、前方にあったクレープ屋だった。
ふーん? アイスがいらないって言うのはそういう意味か。
フードコーナなのか、クレープ屋の近くにはたこやきや焼きそばに、もちろんアイスも売っていて、どれも美味しそうだ。
「わかったよ。席選んでていいぞ」
俺たちの後ろには、カフェの屋外ように椅子とテーブルがいくつも並んでいる。
「……イチゴの奴がいい。早く行ってくれば?」
俺を見て、空我はいう。
「わかったよ!!」
急かす空我に少し腹が立ったが、俺は素直に従うことにした。
……やっぱり俺は空我に甘い。