泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
「……別にいいだろ?今日くらい」
俺はウィンクをして、得意げに言う。
「……お前、マジで今日だけだから。
こんなんいつもされてたら俺ホントに
心臓もたない……」
俺を指さすと、空我は恥ずかしそうに顔を赤らめて目を逸らした。
「………」
なぁ、空我。
それって、どういう意味だよ。
……なんで、
優しい言葉なんか掛けるんだよ。
想いが断ち切れなくなるだろ……。
「……空我、好きだったよ。すげー好き」
気がつけば俺は、泣きながらそんなことを言っていた。
「知ってる。……俺も好き。純恋の次にな」
空我はそういい、俺の頭を撫でた。
初恋の奴とする最初で最期のデートは、まるでいちごみたいに甘酸っぱくて、俺は今更のように、こいつを好きになってよかったなと思ったんだ。