泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
バンッ!!
ドドーン!!
その時、空にオレンジ色の花火が浮かび上がった。
「……え?」
空我は思わず立ち上がって、空を見上げた。
「綺麗だろ?
俺が業者に頼んだんだよ。空我って、花火見たことないだろ?」
遊園地の先には海があった。空我はクレープのゴミをゴミ箱に捨てると、勝手にそこまで走った。
「おい、空我っ!!」
必死で追いかけて空我の腕を掴むと、
そいつは泣いていた。
「空我……?」
「馬鹿野郎。……こんなサプライズしてんじゃねぇよ。
綺麗すぎんだよ……っ」
空我は、八つ当たりでもするみたいに、
俺に殴りかかってきた。
俺はその腕を受け止めて、空我を躊躇いなく抱きしめる。
「……なぁ、空我。
俺は、あんたに出会えてよかったよ」
そう言うと、空我はたかがはずれたかのように、ギャアギャアと赤ん坊みたいに泣き出した。
人生なんて下らないと切り捨てたら、それこそきっとおしまいなのだろう。
だって世界は、どんなに残酷でも、ふとした瞬間に美しくなるものなのだから。
なぁ、奈々絵。
……俺は、お前の分も一生涯こいつを支えて生きていくよ。
一番の親友として。