泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
「「「改めまして、1代目総長、
18歳おめでとうございます!!」」」
潤が俺の体から手を離したと同時に、玄関の先の廊下にあった階段から虹蘭のメンバーがぞろぞろ出てきて言った。
ガチャ。
「空我、誕生日おめでとう」
続いて、階段の反対側にある扉の先に広がるリビングルームから出てきた母さんが、俺に紙袋を差し出してきた。
「これって……誕生日プレゼント?」
嘘だ。俺が親から貰える日が来るなんて……これは絶対に夢だ。
結局、母さんは虐待をしなくなったけど、俺は誕生日とかそういう日に一緒にいるのはまだ怖かった。
またその日を境になにかされてしまったらって思うと怖くて、去年の3月11日、俺はわざと家に帰らなかった。
「空我。渡すのが遅くなって、ごめんなさい」
差し出された紙袋の中には、黒いスーツが入っていた。