泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
「空我、目閉じろ」
「うん?」
言われた通り俺は目を閉じた。
なんだ?
「はい、もう開けていいぞ」
首に、金色の長いチャームネックレスが
掛かっていた。
「……え、いいの?」
それは、父さんが休みの日は肌身離さずつけていたものだった。
いつぞや、俺は綺麗だよなって言ったことがあった。
でも、だからって……。
「それはな、一年記念日の時に母さんが俺に
買ってくれたものなんだよ」
え?
「なんで、そんな大事なヤツ……」
……大事に取っておけばいいのに。
「もう俺と母さんはそれが無くても、十分仲が良いからな。今度は空我が仲良くなれるように……まぁ、まじないみたいなものだ」
効果なんて、大してないだろう。
それでも、嬉しくてしょうがなかった。
奈々絵、もしお前が今のボロ泣きしてる俺を見たら、なんて言うのかな……。
……お前からも、祝って欲しかったな。
ピンポーン
「宅配便でーす」
その時、玄関でそんな声がした。