泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。






潤がリビングルームの中央にあったテーブルの上にダンボールを置いたところで、俺はダンボールに貼られていたセロハンテープをハサミで切った。








独りっ子の子供と医者の両親がいるだけでは無駄に広い家の中で、79人の虹蘭のみんなと俺とその親は黙ってダンボールを見つめていた。







「……開けるぞ」





声が震えた。






俺は恐る恐る四角いダンボールを開いた。







ダンボールの中には、アルバムと一つのDVDがあり、それを囲むようにして999本の黄色い薔薇があった。










< 64 / 115 >

この作品をシェア

pagetop