泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
潤がリビングルームの中央にあったテーブルの上にダンボールを置いたところで、俺はダンボールに貼られていたセロハンテープをハサミで切った。
独りっ子の子供と医者の両親がいるだけでは無駄に広い家の中で、79人の虹蘭のみんなと俺とその親は黙ってダンボールを見つめていた。
「……開けるぞ」
声が震えた。
俺は恐る恐る四角いダンボールを開いた。
ダンボールの中には、アルバムと一つのDVDがあり、それを囲むようにして999本の黄色い薔薇があった。