泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
幸福という名の元に。
『……日比谷恵美さん、どうか俺と結婚してください』
誰かがDVDを再生すると、奈々絵は躊躇いもなく言い放った。
式も、会場も、婿もいない。あるのは、たった一つの結婚指輪とそれをつなぐネックレスとバラの花束だけだった。
「……ずるい。ずるいよ奈々絵。
今そんなことを言われたら………」
めぐはネックレスを握りしめ、何かにすがりつくように言った。
…………最後の最後まで、俺達の親友は本当にえげつなかった。