泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。





……なんだよ。



爽月さんは、奈々絵を嫌ってないのかと思ったのに。


「……昔は、
というのはどういう意味ですか」




めぐの質問する態度は、爽月さんを責め立ててるみたいだった。





「私は、学生時代奈々絵くんの姉が好きだった。……彼女は紫苑という名のそれはそれは綺麗な人だったよ」





出来損ないの弟と出来の良い姉、か……。






「恵美ちゃん、君の後ろにある戸棚にアルバムがあるから、それを持ってきてくれる?」







「……わかりました」




爽月さんに言われ、めぐが戸棚からアルバム
を取り出し、テーブルに置いた。





アルバムを開くと、そこの写真には不っ機嫌そうな顔をした奈々絵が写っていた。





そして、その横にはストレートの黒髪に、切れ長な瞳をした綺麗な女の人がいた。






「……これが、紫苑さん?」




独り言のようにめぐは呟く。

奈々絵のあの美少年顔は、姉に似ていたのかと納得した。










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