泣き跡に一輪の花Ⅱ~Victim or Notice~。
潤の部屋に敷かれた布団の上に座っている俺に目をやり、奈々絵はため息を吐いた。
「……お前こそ」
「寝れねーよ。……だってお前、いつにも増してつまんなそうな顔してんだから」
そう言って笑うと、奈々絵はへやのすみにあるベッドで潤が寝ているのを確認してから、隣くれば?と俺に顎で示してきた。
「……今日が誰の誕生日か、お前知ってる?」
俺がベランダに行くと、奈々絵は突然言った。
「…………俺が殺した姉の誕生日だ。たぶん、生きてたら19歳だな」
奈々絵のその凄惨な言葉は、まるで毒針のように俺の心中を貫いた。