君ともう一度 あの春を迎えよう
高3になってすぐ、

あいつは、

なぜか俺に話しかけてきた。

『お前の名前、
これなんて読むの?』

『・・・チカゲ。』

『へぇ〜。
佐倉 千影、か。
オレは、ユウキ。
葉月 優輝。
よろしく。』

『ああ・・・。
うん。』

『ちぇー。
冷てえ奴。
なんだよ なんだよ。
ツンデレか?』

『・・・』

『ちょっ、
その視線やめてくれ!
凍っちまうだろ!
初対面でなのに、
その興味のなさ滲み出てる表情やめません?!』

『・・・はぁ。』

『あり?
怒った?
ま、いいや。
それより、
佐倉お前、彼女いねぇだろ?』

『・・・いると思う?』

『いんや。全く。』

『・・・。』

『オレもいねんだよなぁ〜。
万年片思いだよ〜。
お前とは、仲良くなれる気がする!』

『そうかな。』

『素っ気な!
遠回しに拒否ってねえ!?』

『さあ。』

『うわ、ひでえ!
確信犯だ!
まぁ、よろしくな!ツンデレ君!』

『・・・。』


一体どういう気の迷いだったのか。

出会って初っ端からマシンガントークをぶちかましてきたおかげで、

あの日から、気苦労が絶えない。

事あるごとに声をかけてくるし、

どう返事をしても何故か大声で笑うし、

意味がわからない。

俺は、面白い事なんて言ってない。

神に誓える。

なのに、葉月は

すごく楽しそうに、

すごく嬉しそうに、

笑う。

なんだか癪だ。

だけど、

別に、

嫌じゃ、ないんだ。

なんでだろう。

人の笑顔は、

苦手、なのに・・・。
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