優しい音を奏でて…優音side
─── 4年生 秋 ───
俺たちは4年生になった。
運動会も終わったある日、俺は初めて女の子から告白された。
青木里奈(あおき りな)
割とハキハキ自分の意見を言う目立つ子で、クラスのリーダー的存在の子だった。
「優音くん、好きです。
私と付き合ってください。」
昼休み、校舎の影に連れて行かれて、そう言われた。
「ごめん。
里奈さんの事、そういう風に考えた事ない。」
俺は即座に断った。
「他に好きな子、いるの?」
「うん。」
「誰?」
「奏ちゃん。」
まだ幼稚だった俺は、聞かれるままにバカ正直に答えた。
それが、この先、どんな結果をもたらすかも考えずに…。