優しい音を奏でて…優音side
「ゆうくん、ごちそうさまでした。」
にっこり笑って、奏が言った。
この笑顔が見られるなら、いくらでも奢ってあげたくなる。
「どう致しまして。」
車に乗った後、これで帰ってしまうのがもったいなくて、
「奏、この後、どこか行きたいとこある?」
と聞いた。
「別に…
それより帰って引っ越しの片付けしなきゃ。」
「じゃあ、手伝うよ。」
即座に言った。
「ぜぇったい、ダメ!」
「えぇ? 何で?」
「見られて困る物も入ってるの!」
もう! ほんとに奏はかわいい。
1番聞きたかった事、俺はなかなか聞けないでいた。
しばらく沈黙が続いた後、意を決して聞いてみた。
「… 奏さぁ、今、付き合ってる奴、いる?」