優しい音を奏でて…優音side
演奏を終えてしばらくすると、丈が長めのふんわりとしたワンピースに着替えた奏がやってきた。
俺の隣に座った奏に、
「ごめん。驚かせたな。」
と謝った。
「やっぱり分かった?」
奏が悔しそうだ。
「ああ。
でも、その後は上手く立て直したじゃん。
最後の『愛の夢』、感動した。」
演奏を褒めると奏が嬉しそうに笑う。
今日の奏は、俺を見てるかと思えば、不意に目を逸らす。
そんな奏の揺れる瞳から目が離せなくなる。
しばらくすると、次の演奏のために、奏は席を立って戻って行った。