優しい音を奏でて…優音side
小学生
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小学生

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─── 6歳 春 ───

母たちがおしゃべりだったおかげで、俺たちは毎週、1時間程、レッスン後に遊んで帰るようになった。

初めは恥ずかしそうにしていた奏だったが、慣れて来ると、とてもおしゃべりで楽しい女の子だと分かった。

だけど、俺にとって奏は、やっぱりお姫様で特別だった。

鬼ごっこをしても、足の速い俺が奏から離れすぎると、つい奏の所に駆け寄って近付きたくなってしまい、捕まってしまうというマヌケな事を繰り返した。


そうこうするうちに、季節は巡り、出会って1年、6歳の春に、俺たちは同じ小学校に入学した。

入学式の日、俺は初めての小学校、初めての教室に多少の緊張感と共に入ると、同じ教室に奏がいた。

何故だろう?
奏の周りだけ、輝いて見える。
他にも大勢いたはずなのに、奏だけはすぐに見つけられた。

俺は、吸い寄せられるように、奏の側に立った。

すると、奏の隣の席に、『たさき ゆうと』と書いてあるのを見つけた。

神様、ありがとう。
これは、もしかして、運命?

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