優しい音を奏でて…優音side
お茶を飲み終えて、バイオリンを手にする。
調弦し、呼吸を整える。
大きく深呼吸をして、演奏を始めた。
愛の讃歌
バイオリンに想いを乗せて、心を込めて弾く。
22年分の片思い。
奏との思い出を胸に、奏との未来を夢見て、俺の精一杯の想いを乗せて。
演奏を終えて、バイオリンを置いた。
奏の目に光るものがある。
俺は、右手で奏の目元を拭った。
「奏、愛してる。
ずっと、奏だけを想ってた。」
22年間、口にできなかった想いを伝えて、俺は、奏の肩を抱き寄せた。