優しい音を奏でて…優音side
俺が椅子に手を掛けると、ようやく奏も俺の存在に気がついた。
「おはよう! 奏ちゃん!」
「ゆうくん! おはよう!
ゆうくんの席、ここ?」
「うん。」
「お隣だね。やったぁ!」
それまで不安そうだった奏の表情が一気にほころんだ。
入学式の帰り、校門前の
『○○年度 第○回 ○○小学校 入学式』
という看板を背に俺たちは仲良く写真を撮った。
母たちに無理矢理撮らされた写真だが、これは近い将来、俺たちの披露宴で是非使わねばなるまい。