優しい音を奏でて…優音side

「奏、どうした?」

理由は分かる気がしたが、あえて聞いてみた。

「何でもないよ。」

恥ずかしそうにする奏。
そのまま抱きしめてしまいたい。

「ゆうくん、あのね、今度、聞いて欲しい事が
あるの。」

「ん? 何?」

「今日は遅いし、また今度でいいから。」

「??? よく分かんないけど、分かった。」

何だろう?
いい事?
悪い事?


「じゃあ、初詣で行こうよ。」

分からないけど、誘ってみた。

「うん! 行きたい!」

「いっそ、一緒に年越しする?
晩飯食べて、テレビの年末特番見ながら
ちょっと飲んで、年が明けたら深夜に初詣で。」

「いいよ。楽しみ。」

この反応、悪い事ではなさそうな気がする。


グラスが空になったので

「そろそろ帰ろうか?」

と声を掛けた。


俺は、奏のドレスを持ち、反対の手で奏の腰を抱いた。

一瞬で奏の顔が真っ赤になる。


だけど…。

奏は嫌がる事なく、俺に腰を抱かれて家まで帰った。

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