優しい音を奏でて…優音side
俺たちはコートを着ると、手を繋いで部屋を出た。
外に出ると、深夜の外気は肌を刺すように寒かったが、2人でいるだけで幸せだった。
俺は指を絡めて繋いだ2人の手を、自分のコートのポケットに入れた。
俺は奏と繋がってる事が嬉しかった。
俺たちは徒歩10分程の所にある寺に来た。
鐘を撞く橦木(しゅもく)を2人で握り、一緒に撞いた。
俺の頭の中は、未だ冷めやらぬ煩悩の塊だけどね。
その後、5分程歩いて、大きな神社に来た。
俺は時計を見て、
「奏、あけましておめでとう。」
と言った。
「ゆうくん、あけましておめでとう。
今年もよろしくね。」
「こちらこそ、今年もよろしく。」
「ふふふっ」
嬉しそうに笑う奏がとても愛しい。
俺は奏の手をしっかり握り直した。