優しい音を奏でて…優音side
俺は奏の荷物を持ち、手を繋いで歩いた。
「ゆうくん、ありがと。」
奏が小さな声で言った。
俺は思わず立ち止まって言った。
「俺こそ、ごめん。勝手に話に割り込んで。
奏は待っててって言ったのに…。」
「そんな事ない。
ゆうくんが言ってくれた事、嬉しかったよ。
ありがとう。」
俺を見上げる奏がかわいくて、ちょっと癒された。
そして、またゆっくり歩き出した。
しばらく無言で歩き、マンションの前まで来た時、俺は言った。
「ほんとは、今日も奏と一緒に過ごしたかった
けど、今日は帰ろう。
今日は奏に優しくできそうにないから。
奏を抱き潰してしまいそうだから。」
俺は出来るだけ冷静に落ち着いて伝えた。
すると、奏は俺の首に腕を回してきた!
「いいよ。
それでゆうくんの心が落ち着くなら。
優しくなくていいから、ずっと一緒にいて。」
と耳元で囁く。
奏、それは反則だろ?
「バカ…」
俺は奏を抱きしめた。
俺は奏を自分の部屋に連れて帰り、朝まで奏が自分のものである事を確かめた。
それでも俺は奏と離れられず、結局、月曜の朝まで、何をするにも一緒にいた。