くまさんとうさぎさんの秘密
再会
くまさんに出会ったのは、何だかとんでもなく行き詰まってる時だった。
家の事情も、それから、自分で始めちゃったことも、何もかもとんでもなく行き詰まってる時で、
本当にどうしようもなかったから、敵か味方かも分からなくて、めちゃくちゃに混乱していた。
いろんな人が周りにいたけれど、誰も本当の私には気が付いていなくて、
ところが不意に、本当の私と目が合った人がいた、、??と、そんな感じ。
あんなに痛烈に誰かと目が合ったことは初めてだから、私は、くまさんとの出会いはあの日だったと思っている。
その日、
「お前、こんなとこで何してんの??」と、くまさんは言った。
足元に座り込んでいる私を見下ろす彼は、えらく大人びて見えた。
カフスボタンと、タイピンが、妙に心に残った。
私たちは高校生。ここはちょっといいお酒を飲むところで、私は身分を偽っていいる。
だから、とっさにどう取り繕ったものか分からなくなった。
何もかもめちゃくちゃになってしまうのか、そもそも、なぜここに彼がいるのか??
「あんたこそ、何してんのよ」
「俺は商談」
「は???」
「いいからとにかくこっち。」
と、彼は言って、スタッフ用のとびらを押して開けた。
「ややこしくならないうちに出てくれよ。」
「***」
頭では判断できていた。
説明すると話が長くなるのだが、私は今やばいやつに絡まれていて、
でも、誰かに助けを呼べる状況でもないので、逃げなきゃならない。
でも、でも、、壊れた靴がこんがらがって、立つこともできない。
そもそも、ヒールの靴って、女が逃げれないようにはかせるものだったかもしれない。
とっさにストラップを外そうとしたが、手が震えて簡単に抜けない。
混乱した頭で冷汗が頬につたう。
もう引きちぎってやろうとしたけれど、それもできずに震えていると、
ふいとくつが宙に放り上げられた。
後から気が付いたのだが、靴が放り上げられたのではなく、私の体が勢いよく抱えあげられたのだ。
そのまま、スタッフオンリーの扉を潜り抜けて、店内からは見えないところろに運ばれる。
「ひとみ、ちょっと隠してやって。あと、何かはくもんかしてやってよ」
「ちょっと、隠すって、私何頼まれてんの?何頼まれたのかさっぱり分かんない。」
「靴壊れたから貸してやってってこと。あと、ちょっと混乱してそうだから余計な事言わないでやって。俺も、表収めてこなきゃなんないの。ややこしいからとにかく落ち着かせてやってよ」
「あああそう。了解」
ひとみさんという人は、えらくきれいな人だった。
ドラマに出てきたら、主役級の美女だ。多分、一回見たら忘れない美人。
「これ、大事な靴??」と、彼女は聞いた。
くつは、盛大に壊れてストラップがねじれ、足首に食い込んでいる。
「痛いんです。あきらめてるから、早く外したい。痛いんです」と、私は、興奮気味に言った。
痛いのは、本当は、足ではない。足ではなかった。。
「諦める」なんて表現使うほど大事なものでもない。
今日会う相手に義理立てしてはいてみたけれど、そもそもがもらった時に受け取らなければ良かったものだ。
そんなことを考えていたら、涙が出てきた。
「あら、あら、あら、もういいんなら、ここハサミで切っちゃっていい?」
と、ひとみさんは言った。きれいな人だな。
ひとみさんはいそいそとハサミを出してきて、ちょっと戸惑ってから、ストラップにハサミを入れた。
痛くはなかったけれど、重かった足がすっと軽くなった。
「これ、底のこれ、これ、これ、えっらいブランドもんじゃん」と、ひとみさんは言った。
私がうつむくと、ひとみさんは何も言わなくなった。
そして、黙ってやさしく足をさすってくれた。
これからどうしたらいいんだろう。。
家の事情も、それから、自分で始めちゃったことも、何もかもとんでもなく行き詰まってる時で、
本当にどうしようもなかったから、敵か味方かも分からなくて、めちゃくちゃに混乱していた。
いろんな人が周りにいたけれど、誰も本当の私には気が付いていなくて、
ところが不意に、本当の私と目が合った人がいた、、??と、そんな感じ。
あんなに痛烈に誰かと目が合ったことは初めてだから、私は、くまさんとの出会いはあの日だったと思っている。
その日、
「お前、こんなとこで何してんの??」と、くまさんは言った。
足元に座り込んでいる私を見下ろす彼は、えらく大人びて見えた。
カフスボタンと、タイピンが、妙に心に残った。
私たちは高校生。ここはちょっといいお酒を飲むところで、私は身分を偽っていいる。
だから、とっさにどう取り繕ったものか分からなくなった。
何もかもめちゃくちゃになってしまうのか、そもそも、なぜここに彼がいるのか??
「あんたこそ、何してんのよ」
「俺は商談」
「は???」
「いいからとにかくこっち。」
と、彼は言って、スタッフ用のとびらを押して開けた。
「ややこしくならないうちに出てくれよ。」
「***」
頭では判断できていた。
説明すると話が長くなるのだが、私は今やばいやつに絡まれていて、
でも、誰かに助けを呼べる状況でもないので、逃げなきゃならない。
でも、でも、、壊れた靴がこんがらがって、立つこともできない。
そもそも、ヒールの靴って、女が逃げれないようにはかせるものだったかもしれない。
とっさにストラップを外そうとしたが、手が震えて簡単に抜けない。
混乱した頭で冷汗が頬につたう。
もう引きちぎってやろうとしたけれど、それもできずに震えていると、
ふいとくつが宙に放り上げられた。
後から気が付いたのだが、靴が放り上げられたのではなく、私の体が勢いよく抱えあげられたのだ。
そのまま、スタッフオンリーの扉を潜り抜けて、店内からは見えないところろに運ばれる。
「ひとみ、ちょっと隠してやって。あと、何かはくもんかしてやってよ」
「ちょっと、隠すって、私何頼まれてんの?何頼まれたのかさっぱり分かんない。」
「靴壊れたから貸してやってってこと。あと、ちょっと混乱してそうだから余計な事言わないでやって。俺も、表収めてこなきゃなんないの。ややこしいからとにかく落ち着かせてやってよ」
「あああそう。了解」
ひとみさんという人は、えらくきれいな人だった。
ドラマに出てきたら、主役級の美女だ。多分、一回見たら忘れない美人。
「これ、大事な靴??」と、彼女は聞いた。
くつは、盛大に壊れてストラップがねじれ、足首に食い込んでいる。
「痛いんです。あきらめてるから、早く外したい。痛いんです」と、私は、興奮気味に言った。
痛いのは、本当は、足ではない。足ではなかった。。
「諦める」なんて表現使うほど大事なものでもない。
今日会う相手に義理立てしてはいてみたけれど、そもそもがもらった時に受け取らなければ良かったものだ。
そんなことを考えていたら、涙が出てきた。
「あら、あら、あら、もういいんなら、ここハサミで切っちゃっていい?」
と、ひとみさんは言った。きれいな人だな。
ひとみさんはいそいそとハサミを出してきて、ちょっと戸惑ってから、ストラップにハサミを入れた。
痛くはなかったけれど、重かった足がすっと軽くなった。
「これ、底のこれ、これ、これ、えっらいブランドもんじゃん」と、ひとみさんは言った。
私がうつむくと、ひとみさんは何も言わなくなった。
そして、黙ってやさしく足をさすってくれた。
これからどうしたらいいんだろう。。
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