くまさんとうさぎさんの秘密

若葉マーク

by 宇佐美 優那

今朝は、前嶋さんが、とても上機嫌でくまさんを訪ねてきた。

「ホレ。これ、お前にやる。」と、前嶋さんがくまさんにわたしたのは、鍵だった。
「これ何ですか??後で、ひとみが脅されそうで怖いです。。」
「車やるよ。ちょっと遅くなったけど、進学祝い。」

私とくまさんは、顔を見合わせた。

「もらえないですよっっ!!」
「それなりに良い車なんだけど、新車じゃないんだ。それに、二人しか乗れないんだ。屋根外したら、花見の季節とか最高なんだけど、ちょっと若者向けだからさ。今の二人には似合う車かと思う。」

前嶋さんは、怖い。私は、実はちょっと苦手だ。けれども、容姿のことだけで言うと、可愛い。実際問題若い部類に入る。キャラクターの違いなんだろうけど、くまさんと並ぶと、兄弟のようで、どちらが弟と紹介されても、納得できてしまうかもしれない。
くまさんの方が、持ってるものも着てるものも落ち着いてる。前嶋さんは、ちょっとコジャレたものが好きだ。

「これ、俺のキャラクターじゃないですよ。いらないです。」
くまさんは、断った。
「ひとみから、車買おうと思ってるって聞いたぞ。お前だって、これから物入りだろうし、もらえるもんはもらっとけよ。」

くまさんは、ちょっと考えた。

「ただじゃ悪いんで、いくらか払いますよ。」
「OK。ひとまず、一旦家まで送ってくれよ。いろいろ説明するから。」

「分かりました。試乗させてもらいます。」
くまさんは、こちらを振り替えって、ちょっと出てくると言った。

私は、笑顔で手をふった。

実は、、
正直、くたくたで、もう一寝入りしたい状況だった。
昨日は、いや、今朝は明朝まで寝かせてもらえなかった。

昨夜分かったことは、彼はセックスが嫌なわけではないということ。

彼のペースがあって、急かすときついみたい。
どちらかと言うと、時間をかけたい方だということ。

ようやく寝たのが明朝3時くらいだったと思う。
明日に差し支えると伝えたところ、次回からは休み前だけにしようと言われた。何か、悔しい。

彼は、あんまり動かれるときついんだそうだ。
良いところと、良くないところがあるみたい。
私は、焦れることはあっても、何触られても良いから、こっちが彼に合わせなきゃいけないかなって思う。
体が合わないとか思われたら、ショックで立ち直れないかも。
挿入までも、多分、「すごく丁寧にしてくれる」ってやつ。あり得ないところ、触ったり舐められたりして、びしょびしょになって、欲しいですアピールしてみても待たされる。初めての時の失態があるから、我慢出来る限り我慢してみるけど、頭が朦朧としてくる。

挿入してからも、待たされる。

抱き締めてくれる。入れられたまま胸を触られると、とてもいい。でも、この状態で「動かないで」とか、「待って」とか言われると、正直きつい。体が熱くなる。あそこの痙攣が止まらない。
動くと、動かないでと言われて、彼にしがみついて疼きを逃す。
ひくひくが止まらないと思ったら、彼が甘いため息をついた。
「それ、めちゃめちゃ良い。。」
浅いところを彼の笠が小さく引っ掻く。やっと、やっと、小さくだけど動いてくれる。
もうダメ。
腰がうねると、彼がその拍子に奥に入ってきて、最奥に突き当たる。彼の形が分かる。
「んっ」
「深っ。優那、メチャメチャ良い。」
我慢させられると、良すぎて気絶しそう。

事が落ち着くまで、六時間近くだ。

「ずるいよ。やっぱり、私ばっかり好きでしょ。週末まで触らないでとか、無理に付き合わされてるみたいな言われ方が悔しい。」
「何ワケわかんないこと言ってんの??優、最高。俺、お前のこと好きすぎてどうにかなりそうでしょ。。こんなこと、やりたくなるたびにしてたら、死ぬまで止まんないでしょ。ちょっと刺激強すぎなんだよ。」

「悔しい。」

「俺は、体触ってる以外の時間も好きなだけ。言ってるじゃん。お前がご飯食べてるの見てるのが好きなんだよ。」
「何かよく分からない。。」
「お前だって、言ってること聞いててさ、何で話通じないのか分かんないよ。セックスめちゃめちゃ良いけど、お前の好きって性欲だけなわけ??」

ごめん、くまさん、私の場合、今はもう、何されてもその欲求に変換されちゃうかも。。でも、ちゃんと全部好き。

優しいところとか、ちょっと変わってるけど、SF並みの行動力と、実は日本男子なところのギャップが、めちゃめちゃ私のツボなんです。。

私の周りに、くまさんを巡るライバルはいない。平林さんはくまさんを気味悪がってるし、あゆみも、「男とは別のカテゴリーの生き物」と話してる。平林さんのお母さんは、くまさんが好きらしいけど。

「性欲だけとか、そんなんじゃないよ。、!」と、私は、目をそらしながら言った。セックスに夢中になりすぎて、彼の気持ちをおざなりにしかねない自分への反省を込めて、、。

セックスは、良い。でも、お互い、慣れないし、ちゃんと一つ一つ相手を感じて、コミュニケーションとらないといけない。いっちゃうと冷めるという話も聞くけど、くまさんの場合、甘くなる。普段は言われないようなこと連呼されるので、その後も盛り上がっちゃって、体が深く開いてしまう感じ、、。
私がこの1年口説きに口説き続けた人は、ちょっと変わってるけど、その時には、甘いことを囁き続けている。
















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