くまさんとうさぎさんの秘密
成長
by 柳瀬 隆司
きよしは、真面目に学校に通い始めた。
それっきり、何もその事について話しかけてはこなかったし、普通にクラスメートとして接するに留まった。
俺は、母親がそこそこ不幸なこともあって、あまり恋愛に夢を見れない。1番意味が分からないのは両親だが、母親は、良い人に雇われてから、すっかり落ち着いた。今の社長はバツイチで、母ちゃん好みのイケメンだ。俺のことも母親のことも可愛がってくれたから、俺は就職を決めた。「今の関係だけは、絶対壊したくない」から、母親は、2度と恋人は作らないと言う。俺も、その通りだと思う。俺だって、熱くなっちゃう気持ちが分からないわけじゃない。でも、今一つ踏み込めないもんもある。。
だから、性別さておき、きよしやら栞ちゃんやら、みやこの彼氏にしても、何であんな熱くなれんのか、何がしたいのか、最近は、よく分からなくなってきた。あんな、何がなんでも自分の思い通りにしてやろうという意気込みみたいなもんには、二の足踏んでしまう。もう、中学生の頃とは違うんだと思う。
みやこは、めちゃめちゃ忙しそうだった。広告からチケットの発行から集金支払い機材やら何やらで、他のバンドとも1つずつ直接話をしてたから、彼女自信は、しばらく部室に泊まりこんでいた。
「みやこ、何か、広告増えてない?何これ??警備会社??ミリオンコンテンツ??」
彼女は、部室のソファーに横になって、おでこを冷やしていた。
「それさ、宇佐ちゃんがとってきた分。何か、熊谷のバイト先の警備会社と、熊谷が大学でやってるサークルの立ち上げた会社だって。」
俺はヒュッと口笛を吹いた。
「宇佐ちゃんやるな。しっかり貢がせてんじゃん。」
「、、、嬉しそうだね。」
「何か、あいつに金出させてるかと思うと、スカッとするわ。」
「貢がせてるって感じではないよ。そのサークルすごいんだよ。うちに広告出しても、アプリが件数売れたら利益が出るって判断したんだって。」
「何じゃそりゃ。。」
みやこは、携帯を取り出して、アプリを起動する。背中に羽を着けた宇佐ちゃんの立体動画がスマホの上に浮かび上がった。
「すごいよ。これ。携帯についてる動画の再生装置が良いからなんだけど、写真三枚取るだけで、こんな画像にできちゃうの。うちは、音楽が目的だから、収支はトントンで良いんだけど、このサークルは、収益上げようとしてやってる。」
「確かに、すごいな。これ、いくらすんの??」
「金額に直すと数百円だけど、何か、ゲームのポイントで買えるらしい。そこから買うと、ゲームの広告兼ねてる関係で、安く買えるんだって。この、羽がゲームのキャラクターの羽らしいよ。」
「この、羽見たことあるわ。」
「これ以外にも、何か色々アプリが出てるよ。他の立体動画は、ゲームのアイテムが飛び出すとか、説明やら部分的な使われ方なんだけど、正面切って撮影したもの再生するタイプは、この会社のが1番マトモかも。」
「すごいな。。3Dとかいらないと思ってたけど、携帯買い直そうかな、、。」
「再生装置つきのが、出てから一年たつから、アプリも増えたよね。」
みやこは、気だるそうに言った。
「それはそうと、お前、大丈夫??熱があるんなら、帰って寝れば??」
「知恵熱だと思う。彼氏と同棲解消して、帰るとこ無いんだ。今、下宿探してるとこ。」
みやこは、笑った。
笑ってるけど、ここまで来るのに、こいつ、丸々一年かかった。
「大丈夫かよ。俺にできることあったら言えよ。」
みやこは、俺の方を見た。
「考えとく。」と、彼女は言った。
きよしは、真面目に学校に通い始めた。
それっきり、何もその事について話しかけてはこなかったし、普通にクラスメートとして接するに留まった。
俺は、母親がそこそこ不幸なこともあって、あまり恋愛に夢を見れない。1番意味が分からないのは両親だが、母親は、良い人に雇われてから、すっかり落ち着いた。今の社長はバツイチで、母ちゃん好みのイケメンだ。俺のことも母親のことも可愛がってくれたから、俺は就職を決めた。「今の関係だけは、絶対壊したくない」から、母親は、2度と恋人は作らないと言う。俺も、その通りだと思う。俺だって、熱くなっちゃう気持ちが分からないわけじゃない。でも、今一つ踏み込めないもんもある。。
だから、性別さておき、きよしやら栞ちゃんやら、みやこの彼氏にしても、何であんな熱くなれんのか、何がしたいのか、最近は、よく分からなくなってきた。あんな、何がなんでも自分の思い通りにしてやろうという意気込みみたいなもんには、二の足踏んでしまう。もう、中学生の頃とは違うんだと思う。
みやこは、めちゃめちゃ忙しそうだった。広告からチケットの発行から集金支払い機材やら何やらで、他のバンドとも1つずつ直接話をしてたから、彼女自信は、しばらく部室に泊まりこんでいた。
「みやこ、何か、広告増えてない?何これ??警備会社??ミリオンコンテンツ??」
彼女は、部室のソファーに横になって、おでこを冷やしていた。
「それさ、宇佐ちゃんがとってきた分。何か、熊谷のバイト先の警備会社と、熊谷が大学でやってるサークルの立ち上げた会社だって。」
俺はヒュッと口笛を吹いた。
「宇佐ちゃんやるな。しっかり貢がせてんじゃん。」
「、、、嬉しそうだね。」
「何か、あいつに金出させてるかと思うと、スカッとするわ。」
「貢がせてるって感じではないよ。そのサークルすごいんだよ。うちに広告出しても、アプリが件数売れたら利益が出るって判断したんだって。」
「何じゃそりゃ。。」
みやこは、携帯を取り出して、アプリを起動する。背中に羽を着けた宇佐ちゃんの立体動画がスマホの上に浮かび上がった。
「すごいよ。これ。携帯についてる動画の再生装置が良いからなんだけど、写真三枚取るだけで、こんな画像にできちゃうの。うちは、音楽が目的だから、収支はトントンで良いんだけど、このサークルは、収益上げようとしてやってる。」
「確かに、すごいな。これ、いくらすんの??」
「金額に直すと数百円だけど、何か、ゲームのポイントで買えるらしい。そこから買うと、ゲームの広告兼ねてる関係で、安く買えるんだって。この、羽がゲームのキャラクターの羽らしいよ。」
「この、羽見たことあるわ。」
「これ以外にも、何か色々アプリが出てるよ。他の立体動画は、ゲームのアイテムが飛び出すとか、説明やら部分的な使われ方なんだけど、正面切って撮影したもの再生するタイプは、この会社のが1番マトモかも。」
「すごいな。。3Dとかいらないと思ってたけど、携帯買い直そうかな、、。」
「再生装置つきのが、出てから一年たつから、アプリも増えたよね。」
みやこは、気だるそうに言った。
「それはそうと、お前、大丈夫??熱があるんなら、帰って寝れば??」
「知恵熱だと思う。彼氏と同棲解消して、帰るとこ無いんだ。今、下宿探してるとこ。」
みやこは、笑った。
笑ってるけど、ここまで来るのに、こいつ、丸々一年かかった。
「大丈夫かよ。俺にできることあったら言えよ。」
みやこは、俺の方を見た。
「考えとく。」と、彼女は言った。