くまさんとうさぎさんの秘密
大人の事情
by熊谷 ひとみ
最悪だ。朝帰りだ。
しかも、息子が学校に行くのを待っての朝帰りだ。

振り替えると、ここのところ、年甲斐もなく、いろいろありすぎた。
オーナーが1年ほど前に代替わりした。前嶋篤。大学を出たばかりのイケメンで、店もすっかり若返った。新オーナーは、前のオーナーの息子さんで、高校生の頃から知ってる。私は、彼が高校生の頃は、「あっちゃん、あっちゃん」と呼んで、可愛がってた。
義明のお稽古ごとだの学校だの、この頃の義明に付き合わされると老けた気分になるけれど、あっちゃんが新オーナーになってからは、仕事が楽しくてしょうがなかった。前のオーナーの時は、1従業員だったが、今のオーナーに交代してからは、こちらの方が長いからという理由で、頼られることが増えた。
義明とその友達を紹介した時には、ちょっと、調子に乗りすぎてた。義明の友達が小さなセキュリティの会社を立ち上げていて、破格の値段で良い設備を導入してくれた。
Wi-Fiが使い放題になり、防犯カメラも見直された。店の死角がなくなって、ちょっと緊張が和らいだ気がした。私は、時々防犯カメラに向かって手をふったりした。
義明が、うちに同級生連れ込んだ次の日、帰りに新オーナーが声をかけてくれた。
「ひとみさん、昨日の子大丈夫だった?」
「すみません、ご迷惑おかけしました。。」
「息子さんの彼女??」
「そうじゃないみたい。これからどうなるのかも分かんないけど。私も、昨日初めて会った子だわ。何か、有名な大学の先生のお嬢さんなんだって。」
私は、笑った。
「息子の女友達には嫌われたくないわ。。嫁に嫌われたくないもん。」
「義明君、もてそうだよね。女がほっとかないだろうし、程よい隙があるというかさ。」
「はは、お婆ちゃんになれる日ももうすぐかな。」と、私は笑った。
「ひとみさん、義明君大好きでしょ。強がらなくていいよ。お母さんぶっても似合わないからやめときな。息子とられちゃって寂しいんじゃないの。」
「バカ言わないでね。。子どものことなんて分かりもしないのに、生意気言わないでよ。オーナーも目覚まして。ぶったってぶらなくたって、もうすぐお婆ちゃんだよ。私、。」自分に言い聞かせるように言った。
新オーナーは、シャツの襟元を緩めた。
「何でそういうこと言うかな。必死に予防線はっちゃって。ひとみ、全然そんな事思ってないでしょ。親子親子って言うけれど、俺は、かえって煽られちゃってるんだけどな」
「???」
「ひとみさん、義明君にボディタッチ激しいじゃん。他の人には絶対にしないよね。」
「そりゃ、だっこの頃からの付き合いだもん。。間違いなく、今のところこの世て1番ハグしてる男だわ。」
篤は、口元に手をあてた。
「息子なんて不毛じゃん。俺にしときなよ。」
実は、私は、新オーナーが高校生の頃から口説かれてる。
「息子くらいの年の男の子も不毛でしょ」笑顔で答えた。
「年なんか関係ないよ。」
「そういうとこが若いなあって思う。私、中身はアラフィフだからね。そもそも、若く見えたり、メス臭く見られたり、もうそういうの、しんどいのよ。私、遺伝子検査したことあるの。お医者さんが念のためちゃんと遺伝子疾患の可能性も調べましょうって。自分の見た目が病気並みなのは、自覚してる。何も見つからなかったけど、見た目と心が違うから、誤解されやすいの。普通に母ちゃんなんだよ。」
「知らないよ。とにかく、義明君は、一緒にいてしんどくないんでしょ。」
「そりゃ、自分の分身だもん。。」
「俺、義明君に似てない??」
篤は、私の両手をとった。
そして、自分の頬に当てた。
「似てないよ。」
私は、彼を見上げた。
篤は、更に私の手を自分の首の周りに回した。
義明が店に来たら、いつもこんな風にハグする。
若い頃、彼のお父さんにそうしてた。義明は、骨格が父親に似ている。
ついつい、義明と同じしぐさに、油断した。ふいに抱き寄せられて、思いっきり、噛みつくように唇奪われた。

篤には、ずっと口説かれていて、一緒にいると、時々自分がえらくかわいくなったように思えてた。すっかり調子にのせられてた。
多分、もう、とっくに陥落してたんだと思う。
自分でお婆ちゃんお婆ちゃん言いながら、引かれると、ちょっとガッカリしたりもした。
オーナーも、義明が出入りするようになってから、私と距離をとっているように見えたから、息子と同じくらいなんて、やっぱり、ひいてるんだと思ってた。

長い長い強引なキスの後、篤は吐き捨てるように言った。「あんまり挑発的なことしないで下さいよ。壁作られて、目の前でイチャイチャやられたら、気が狂いそうだ。」
このまま逃れられるかと一瞬思ったが、違った。
キスで唇ふさがれたまま、壁に押し付けられ、ワンピースの上から。。触られると体が反応しちゃうし、それは、篤にもばれてた。篤を調子に乗せてしまってるのは分かってた。あちこち触られた後、気がついたら、何度も何度も割れ目を撫でられてた。

「ひとみ、かわいい。。びしょ濡れ。。」
「こっわい。。私、何人目の女???」
(もしかして、経験豊富??)
彼がワインのボトルを握るのが見えた。
私は、体をよじりながら疼きを逃がそうとしたけれど、抵抗はしなかった。
口移しにワインが注ぎ込まれた。
気がついたら、中に指が入っていて、私の中の弱いところをゆっくりゆっくりと軽く軽く撫で回していた。頭がくらくらし、立っていられなくなって、自分でも、あそこがひくひく痙攣してるのが分かった。
「ずっとひとみだけでしょ、!知ってるじゃん。」
と、篤は耳元で言った。
「何度も何度も心のなかで犯したけど。」
焦れて、焦れて、腰が揺れた。
「ひとみ、かわいい。ひくひくしてる。」
「あっちゃ、ん、怖い。。」
「、、。」
指が、良いとこを何度刺激した。腰をよじって、疼きを逃そうとしたけど、立っていられなくなって篤の腕の中に崩れ落ちた。
そのまま、ソファー席に運ばれて、耳元でささやかれる
「あきらめて。ひとみさん、俺、しつこいよ。」

そのまま、随分と中と真珠と撫で回されて、焦らされ続けて腰を擦り付けてしまっていた。
篤は、ことのほかいじわるかった。
いきそうになったら止められてる。気がついたときには、彼の上に乗ってた。夢中で彼の指に擦り付けてると、また、止められて、それから、、

篤は、本当に酷い。
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