くまさんとうさぎさんの秘密
目が合った瞬間
あの一瞬で私の人生は一変した。
もう、訳が分からない。。
とにかく翌朝、私はくまさんの家にいて、くまさんの家のベットで目が覚めた。
何で、こんなでかい家に住んでるのか知らないけれど、この部屋は、亡くなったお父さんのものだと聞かされた。
そっと部屋から出ると、長い廊下はしんと静まり返っていた。
心細い気持ちで廊下の壁を伝いながらリビングの方に向かってゆっくり歩いていると、
バンっと扉を開けて、くまさんが廊下に出てきた。
「ああっ、悪い。部屋から出てきてると思わなくて」と、くまさんは言った。
首の周りにスポーツタオルを巻いて、いわゆる風呂上がりの格好だ。
「ひとみさんは?」と、たずねると、「仕事」と、くまさんは答えた。
「働いてるんだ??」と、私はつぶやいた。
えらくきれいな人だったけど、安っぽい感じしない人だったもんなあ。。
「父親が死んでからだけどね」
と、くまさんは言った。
私はちょっと混乱した。
というのも、昨晩、くまさんは、ひとみさんと一緒に寝室に入っていったからだ。
そもそも高校生が男女で一緒に寝室に入るのも混乱な出来事だけど、
昨日は今までの人生のかみ合わなさみたいなものが全部噴出したような一日だったから、
その違和感には気が付かなかった。
彼のカフスボタンとタイピンがあまりに決まりすぎてて、
この人が私と高校で机を並べていることの方が印象薄くなっていったのだ。
「ひとみさんって、姉妹???」と、私は聞いた。
くまさんは、しばらく黙っていた。
「いや、あの人おれの母親。」
「母親」
「えええーーー」
「父親が死んでから母子家庭で、母親が働いてる。」
「お母さんいくつなの??」
「ひとみは47さい」
「何で、お母さんって言わないの??何で、お母さんのこと呼び捨てにするわけ??」
「あの人カナダ人のハーフなんだよ。あの人の家族が俺にひとみって呼ばせるから。そんな変かな??」
「変じゃないけど、信じらんないよ。お母さん、学生くらいにしか見えないじゃん。お母さんだとは気が付かないわ。それに。。。」
「???」
「一緒に寝室はいって行ったでしょ??何か、くまさん昨日は大人に見えたから、大人なことにでもなってるのかと思って。。」
くまさんは真っ赤になった。
「おまっ、あほか。俺が女とめるって言うから、散々事情聞かれたんだよ。母親だぞ、母親。俺高校生だし。」
彼と同じ教室で高校生やってきたことの方が嘘のような気がしてきていたから、何だかほっとして、私はつぶやいた。
「もう、わけ分かんないわ。。」
「それはこっちのセリフ。俺、なんもおまえのこと知らないのに、ひとみに何て説明していいか分からなかったじゃん。」
「ごめん。。」
「今はとにかく泊めてやってくれって。すんごいまじめな奴だからって言っといた。」
「落ち着いたら、ひとみから親に説明してもらうから、とりあえず俺に事情話せよ。当たり障りないようにうまく言っとくし。」
「。。。」
「親には言わないで」
「???はっ?」
「言わないでーーっ!!!」
私は絶叫した。
くまさんは、私の口をふさいだ。
「落ち着こう」と、くまさんは言った。
そういうわけにもいかないことは分かる。
頭では分かるから、ぎゅっと目を閉じて、
私は、絞り出すように言った。
「めんどいよね。ごめんね。」
でも、親はだめだ。
「父親が死んだとき、ひとみも叫んでた」
と、くまさんが言った。
「優しいね。」と私が言うと、
「同じクラスじゃん」と、くまさんが言った。
「一昨日までと別の人に見えるよ」と私が言うと、
「うさみもな」と、くまさんが言った。
「お前、本当は真面目じゃないの?」
「真面目だよ。めちゃめちゃ。やらなきゃならないことから逃げれない方だと思う。」
「まじかよっ」
くまさんが頭をタオルでこすった。
うなじが妙に色っぽかった。
「ま、事情は話せよ。解決しないじゃん。とりあえず、朝ご飯食って、学校は行けるのか?これ。。」
「全然大丈夫。親はさ、もう高校はどうでもいいから、あの人と結婚しろって言うの。」
「はっ??」
そうそう。くまさんは、とてつもなくややこしいことに巻き込まれてしまった。
あいつ、くまさんにだって何やらかすか分からない。。
私は、くまさんへの申し訳なさと同時に、昨日のあの瞬間のあのくまさんの顔が、強烈な印象を残して消えないことに気がついた。
親はダメとか、帰りたくないとか、ややこしすぎる。
めんどくさすぎる。
おまけに重すぎる。
でも、くまさんのそばの居心地よさを知って、
手が離せなくなってしまった。
昨日から、結果的に何とかしてくれているくまさんにすがる他ない。
となると、ひとみさんにもうまく説明をつけるしかないが、頭は混乱していた。
とりあえず、学校だ。
もう、訳が分からない。。
とにかく翌朝、私はくまさんの家にいて、くまさんの家のベットで目が覚めた。
何で、こんなでかい家に住んでるのか知らないけれど、この部屋は、亡くなったお父さんのものだと聞かされた。
そっと部屋から出ると、長い廊下はしんと静まり返っていた。
心細い気持ちで廊下の壁を伝いながらリビングの方に向かってゆっくり歩いていると、
バンっと扉を開けて、くまさんが廊下に出てきた。
「ああっ、悪い。部屋から出てきてると思わなくて」と、くまさんは言った。
首の周りにスポーツタオルを巻いて、いわゆる風呂上がりの格好だ。
「ひとみさんは?」と、たずねると、「仕事」と、くまさんは答えた。
「働いてるんだ??」と、私はつぶやいた。
えらくきれいな人だったけど、安っぽい感じしない人だったもんなあ。。
「父親が死んでからだけどね」
と、くまさんは言った。
私はちょっと混乱した。
というのも、昨晩、くまさんは、ひとみさんと一緒に寝室に入っていったからだ。
そもそも高校生が男女で一緒に寝室に入るのも混乱な出来事だけど、
昨日は今までの人生のかみ合わなさみたいなものが全部噴出したような一日だったから、
その違和感には気が付かなかった。
彼のカフスボタンとタイピンがあまりに決まりすぎてて、
この人が私と高校で机を並べていることの方が印象薄くなっていったのだ。
「ひとみさんって、姉妹???」と、私は聞いた。
くまさんは、しばらく黙っていた。
「いや、あの人おれの母親。」
「母親」
「えええーーー」
「父親が死んでから母子家庭で、母親が働いてる。」
「お母さんいくつなの??」
「ひとみは47さい」
「何で、お母さんって言わないの??何で、お母さんのこと呼び捨てにするわけ??」
「あの人カナダ人のハーフなんだよ。あの人の家族が俺にひとみって呼ばせるから。そんな変かな??」
「変じゃないけど、信じらんないよ。お母さん、学生くらいにしか見えないじゃん。お母さんだとは気が付かないわ。それに。。。」
「???」
「一緒に寝室はいって行ったでしょ??何か、くまさん昨日は大人に見えたから、大人なことにでもなってるのかと思って。。」
くまさんは真っ赤になった。
「おまっ、あほか。俺が女とめるって言うから、散々事情聞かれたんだよ。母親だぞ、母親。俺高校生だし。」
彼と同じ教室で高校生やってきたことの方が嘘のような気がしてきていたから、何だかほっとして、私はつぶやいた。
「もう、わけ分かんないわ。。」
「それはこっちのセリフ。俺、なんもおまえのこと知らないのに、ひとみに何て説明していいか分からなかったじゃん。」
「ごめん。。」
「今はとにかく泊めてやってくれって。すんごいまじめな奴だからって言っといた。」
「落ち着いたら、ひとみから親に説明してもらうから、とりあえず俺に事情話せよ。当たり障りないようにうまく言っとくし。」
「。。。」
「親には言わないで」
「???はっ?」
「言わないでーーっ!!!」
私は絶叫した。
くまさんは、私の口をふさいだ。
「落ち着こう」と、くまさんは言った。
そういうわけにもいかないことは分かる。
頭では分かるから、ぎゅっと目を閉じて、
私は、絞り出すように言った。
「めんどいよね。ごめんね。」
でも、親はだめだ。
「父親が死んだとき、ひとみも叫んでた」
と、くまさんが言った。
「優しいね。」と私が言うと、
「同じクラスじゃん」と、くまさんが言った。
「一昨日までと別の人に見えるよ」と私が言うと、
「うさみもな」と、くまさんが言った。
「お前、本当は真面目じゃないの?」
「真面目だよ。めちゃめちゃ。やらなきゃならないことから逃げれない方だと思う。」
「まじかよっ」
くまさんが頭をタオルでこすった。
うなじが妙に色っぽかった。
「ま、事情は話せよ。解決しないじゃん。とりあえず、朝ご飯食って、学校は行けるのか?これ。。」
「全然大丈夫。親はさ、もう高校はどうでもいいから、あの人と結婚しろって言うの。」
「はっ??」
そうそう。くまさんは、とてつもなくややこしいことに巻き込まれてしまった。
あいつ、くまさんにだって何やらかすか分からない。。
私は、くまさんへの申し訳なさと同時に、昨日のあの瞬間のあのくまさんの顔が、強烈な印象を残して消えないことに気がついた。
親はダメとか、帰りたくないとか、ややこしすぎる。
めんどくさすぎる。
おまけに重すぎる。
でも、くまさんのそばの居心地よさを知って、
手が離せなくなってしまった。
昨日から、結果的に何とかしてくれているくまさんにすがる他ない。
となると、ひとみさんにもうまく説明をつけるしかないが、頭は混乱していた。
とりあえず、学校だ。