くまさんとうさぎさんの秘密
北の魔法使いのお城
by熊谷義明
5月の連休を前に、俺は、父親の知り合いの時田さんに連絡をとった。電話連絡で、そもそも会ってもらえるのか心配していたが、時田さんはフットワーク軽い人だった。
時田さんは、医療機器メーカー勤務で、この会社は、医療機器以外にも実験機器も扱ってる。学内に営業に来てるそうで、営業帰りの時田さんとは、学食で落ち合うことになった。
キョロキョロと学食の中を見回す時田さんに、俺は声をかけた。
「時田さん、ご無沙汰してます。」
「義明君??」
「はい」
「お父さんは、その、残念だったね。。」
「何年も前の話です。時田さんにも、その節はお世話になりました。」
「えらく、背が高くなったね。あの頃も大きいとは聞いてたけど、子どもの背丈なんて分かってなかったから、ぜんぜん分からなかった。。君、まだ子どもだったんだよなあ。。」時田さんは、俺の頭の先から足の先まで上下に視線を動かした。
「よく言われます。」俺は笑った。
「笑うと、先生が目の前にいるみたいだ。。」
と、時田さんは言った。

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