くまさんとうさぎさんの秘密
お姉さんたち
by 宇佐美 優那
保育園でのライブは楽しかった。本当に。
アニソンはいい。ジャズに合う。松野さんとキヨシさんも、全開で歌ってたし、リュウジさんのドラムもめちゃくちゃパンチが利いてた。相田さんのソロも本当に良かった。
大きな音だから、子どもたちの好みも分かれるところかと思ったけど、意外と大丈夫だった。
松野さんとキヨシさんがうまいんだ。MCの時は、いつもよりゆっくりふくらみのある声で園児たちに呼びかけてくれた。園児にもわかりやすかったと思う。
子どもたちも、ノリノリで歌ってくれて、ホント、可愛かった。
私は、ノリノリの園児が膝でリズムをとるのを見るのが好きだ。
盆踊りも、いつも練習しているものだから、積極的に踊ってくれて、歌ってくれて、、本当に良かった。
残念だったのは、くまさんが来てくれなかったこと。
別に、来れなくてもいいんだけど、むこうから「行ってもいい?」と声をかけてもらえてたし、
地元での話だし、ちょっと期待してしまっていた。
まあ、今回は突然だし、くまさんに話したライブハウスのライブの話はまだ先だし、
今回はたまたまタイミングが合わなかった訳だし、それに、、大学生の男の子に見たいと思ってもらえるような種類のモンでもない。。
くまさんが来れないと分かった日、
他のメンバーは、彼氏さんやら見に来るって言うし、何か悔しくて、優矢に電話したら、優矢にも断られてしまった。
優矢は、昨年は、私の顔を見に保育園にちょこちょこ遊びに来てたけど、ここのところ顔を出さなくなった。
「僕、保育園は卒業かも。友達が、みんな保育園には遊びに行かなくなってきたんだ。」と、話していた。
「ええーっめちゃさみしいんだけど。。」
優矢に会えないのはさみしいので、映画とファストフードデートに誘ったら、そこはあっさりOKくれた。
優矢との電話を後ろで聞いていた松野さんが言った。
「あのさ、学祭の日のライブハウスだけど、チケット販売のノルマがあるんだ。あと、パンフレットの広告も、各サークルノルマがあって、ジャズチームの担当分があるんだけど、大丈夫そう?」
「ええーっ。全く知りませんでした。」
「ライブハウス貸切るんだから、いい値段なんだよ。私、ライブハウスの人に直接お金包む係したんだけど、手が震えたわ。新札の札束。」
「みんなどうしてるんですか??」
「確かに、「お金払って、自分の演奏見に来てほしい}って、知り合いには言いづらいでしょ。だから、ゲスト言い訳に友達に買ってもらった。自分も前座で出てますって。私は、ノルマのことも正直に話したかな。」
「高校の学祭と同じように考えてました。」すごいプレッシャーだ。
「ノルマ自体は10枚程度だから、一年生のうちは、あんまり気にしないで。相田さんがすごいよ。あの子、ちょっと有名なブロガーらしくて、すごいチケット売り上げるの。私は、キヨシのおかげで何とかなってる感じかな。」
さらに、後ろから、リュウジさんが口を挟んだ。
「俺、今年は宇佐ちゃんから買うわ。」
キヨシさんと松野さんが、リュウジさんを振り返る。
「裏切りもん」と、キヨシさんが言った。
「俺の勝手じゃん。友達も来るって言ってたから、宇佐ちゃん、何枚かまわしてよ。」
「何か、悪いです。」こんな時に、何て言っていいか分からない。
松野さんが笑った。
「宇佐ちゃん、そこ、ありがとうって言うところだよ。そこで、ファンサービスできるくらいじゃないと、やってけないよ。」
「慣れてない感じが、しおりちゃんと違って初々しいでーす」と、キヨシさんは言った。
しおりちゃんというのは、松野さんの下の名前だ。
「宇佐ちゃん、いらないこと言われても、スルーしていいからね。チケットだけ買ってもらってOKだよ。」と、松野さんは、小声で、私に囁いた。私も、思わず笑ってしまった。
ライブの当日、くまさんは来てくれなかったけど、ひとみさんが、見に来てくれて、しかも、帰る前にメンバーさんに挨拶してくれた。
ひとみさんのことは、「下宿させてくれている人」と紹介した。
「優那ちゃん、私にとっては娘みたいな存在です。みんな、仲良くしてくださって、本当にありがとう。」と、ひとみさんは言った。めちゃくちゃ嬉しかった。
松野さんが、「すっごい綺麗な人だね、熊谷ひとみさん。ファンになるのもわかるわ。」と、言った。
「演奏も、すごいよ。私、今年に入ってからピアノ教えてもらってるんです。」と、私は言った。
保育園でのライブは楽しかった。本当に。
アニソンはいい。ジャズに合う。松野さんとキヨシさんも、全開で歌ってたし、リュウジさんのドラムもめちゃくちゃパンチが利いてた。相田さんのソロも本当に良かった。
大きな音だから、子どもたちの好みも分かれるところかと思ったけど、意外と大丈夫だった。
松野さんとキヨシさんがうまいんだ。MCの時は、いつもよりゆっくりふくらみのある声で園児たちに呼びかけてくれた。園児にもわかりやすかったと思う。
子どもたちも、ノリノリで歌ってくれて、ホント、可愛かった。
私は、ノリノリの園児が膝でリズムをとるのを見るのが好きだ。
盆踊りも、いつも練習しているものだから、積極的に踊ってくれて、歌ってくれて、、本当に良かった。
残念だったのは、くまさんが来てくれなかったこと。
別に、来れなくてもいいんだけど、むこうから「行ってもいい?」と声をかけてもらえてたし、
地元での話だし、ちょっと期待してしまっていた。
まあ、今回は突然だし、くまさんに話したライブハウスのライブの話はまだ先だし、
今回はたまたまタイミングが合わなかった訳だし、それに、、大学生の男の子に見たいと思ってもらえるような種類のモンでもない。。
くまさんが来れないと分かった日、
他のメンバーは、彼氏さんやら見に来るって言うし、何か悔しくて、優矢に電話したら、優矢にも断られてしまった。
優矢は、昨年は、私の顔を見に保育園にちょこちょこ遊びに来てたけど、ここのところ顔を出さなくなった。
「僕、保育園は卒業かも。友達が、みんな保育園には遊びに行かなくなってきたんだ。」と、話していた。
「ええーっめちゃさみしいんだけど。。」
優矢に会えないのはさみしいので、映画とファストフードデートに誘ったら、そこはあっさりOKくれた。
優矢との電話を後ろで聞いていた松野さんが言った。
「あのさ、学祭の日のライブハウスだけど、チケット販売のノルマがあるんだ。あと、パンフレットの広告も、各サークルノルマがあって、ジャズチームの担当分があるんだけど、大丈夫そう?」
「ええーっ。全く知りませんでした。」
「ライブハウス貸切るんだから、いい値段なんだよ。私、ライブハウスの人に直接お金包む係したんだけど、手が震えたわ。新札の札束。」
「みんなどうしてるんですか??」
「確かに、「お金払って、自分の演奏見に来てほしい}って、知り合いには言いづらいでしょ。だから、ゲスト言い訳に友達に買ってもらった。自分も前座で出てますって。私は、ノルマのことも正直に話したかな。」
「高校の学祭と同じように考えてました。」すごいプレッシャーだ。
「ノルマ自体は10枚程度だから、一年生のうちは、あんまり気にしないで。相田さんがすごいよ。あの子、ちょっと有名なブロガーらしくて、すごいチケット売り上げるの。私は、キヨシのおかげで何とかなってる感じかな。」
さらに、後ろから、リュウジさんが口を挟んだ。
「俺、今年は宇佐ちゃんから買うわ。」
キヨシさんと松野さんが、リュウジさんを振り返る。
「裏切りもん」と、キヨシさんが言った。
「俺の勝手じゃん。友達も来るって言ってたから、宇佐ちゃん、何枚かまわしてよ。」
「何か、悪いです。」こんな時に、何て言っていいか分からない。
松野さんが笑った。
「宇佐ちゃん、そこ、ありがとうって言うところだよ。そこで、ファンサービスできるくらいじゃないと、やってけないよ。」
「慣れてない感じが、しおりちゃんと違って初々しいでーす」と、キヨシさんは言った。
しおりちゃんというのは、松野さんの下の名前だ。
「宇佐ちゃん、いらないこと言われても、スルーしていいからね。チケットだけ買ってもらってOKだよ。」と、松野さんは、小声で、私に囁いた。私も、思わず笑ってしまった。
ライブの当日、くまさんは来てくれなかったけど、ひとみさんが、見に来てくれて、しかも、帰る前にメンバーさんに挨拶してくれた。
ひとみさんのことは、「下宿させてくれている人」と紹介した。
「優那ちゃん、私にとっては娘みたいな存在です。みんな、仲良くしてくださって、本当にありがとう。」と、ひとみさんは言った。めちゃくちゃ嬉しかった。
松野さんが、「すっごい綺麗な人だね、熊谷ひとみさん。ファンになるのもわかるわ。」と、言った。
「演奏も、すごいよ。私、今年に入ってからピアノ教えてもらってるんです。」と、私は言った。